2012-10-29

沢木耕太郎さんの『深夜特急』を読んでいます。


著者が旅した香港からインド、西へ駆け抜けイギリスまでの記録で、バックパッカーのバス旅、全6巻になります。
どこかのブログで、バックパッカーのバイブルだと書いてあったような気がします。

こういう本を読んでいると、旅に出たくなりますね。
今までアジアにはあまり興味がなかったのですが(というか、近いから年をとってからでも行けるかなと)、特に4巻あたりまでは実に濃厚に昔のアジアの混沌さが描かれていて、引き込まれます。
ばくちをやったり、行き当たりばったりの人について行ったり...やってみたいけどこういう旅はわたしにはできないので、本の中でそういう空気を味わえてなかなか楽しいです。
旅している時代はかなり前で、もちろんユーロはない頃の話ですので、旅事情も今とは違ってたのではないでしょうか。今よりももっとぐちゃっとしていたのでしょう。

西ヨーロッパに入る後半は、旅のエピソードもありながら「旅の終わり方」や「旅とは何か」みたいなところもことあるごとに語られており、前半の「旅は楽しい」モード全開の流れよりは哲学的ですね。

印象に残っているのは、茶のスペルでアジアからヨーロッパに入ったことを実感したという話。
アジアではお茶はCHA、CHAIとCから始まりますが、ヨーロッパではTから始まるTEA、THEですものね。なるほどと思いました。

それと、物乞いと関わったときのお話。
アジアでは物乞いが多くいたということですが、筆者は決してお金はあげないというスタンスをとっていたそうです。その時お金を渡したからといって、彼らの生活レベルを向上させる根本的な解決策にはなっていないからです。この考え方は、本を読まずとも前からわたしの中にもありました。
しかし、とある一人のバックパッカーについて、著者は「自分よりも明らかにみすぼらしく、お金なんて持っていないようにみえたのだが、彼は物乞いに対してお金を恵んでいた」というエピソードを紹介しています。これを見て筆者は、貧しくても貧しいなりに与えられるものがあれば与えればいいというような意味の感想を持ちます。確かにそうだよなぁとわたしも考え方が少し変わったような気がしました。

よく、「自分が幸せじゃないと、他人を幸せにできない」と尤もらしく言いますが、そうではなく、自分がどうであれ、何か他人のために自分らしくやれることをやればいいだけの話です。幸せじゃないからというのは、何もしないことに対する言い訳なのかもしれないなと思いました。

まぁ、わたしも偉そうなことはしていないので、考えさせられましたね。

2 件のコメント:

  1. hiroさん、どうもです。
    深夜特急は私も大好きでして
    今まで何回も読み返しています。
    私の場合は海外旅行を一人でやる勇気は
    ないのですが、せめて国内ぐらいは
    学生時代に経験したかったですね。
    最低でも1ヶ月間ぐらいは。
    読み返す度に、「あ~!あの頃に戻りたい!」
    なんて気分になります(笑)

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  2. 海さん、コメントありがとうございます!
    いま最終巻を読んでいるのですが、自分の旅が終わってしまう気がして何だか読み進めるペースがダウンしています。
    わたしも、この本のようなアグレッシブな旅はしたことがありませんで、学生時代にやっておけば良かったなぁと思います。で、いまごろチビチビと出掛けている次第です。
    まぁ学生時代は時間があってもお金がありませんでした(笑)

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